2015.04.23

  • 文書管理

ルールを決めて全社で共有 スキャニング文書の運用とメリット

2005年に施行された「e-文書法」によって、一部の文書は電子化保存が認められるようになりました。紙文書は文書の種類別にファイリングして部門ごとにキャビネットに保管しますが、電子化文書はパソコンやサーバーにカテゴリー別のフォルダを用意して階層的にアーカイブ化することが可能となります。

1.e-文書法について

現在、決算の関連書類や帳簿類、契約書や領収書など法令によって保存することが義務づけられている国税関係文書などは、紙での保存ではなく電子化した文書での保存が認められています。

平成27年度税制改正の大綱が閣議決定されたことによってe-文書法の規制緩和が決まりました。その主旨は、2015年9月30日以降に行う承認申請について、国税関係書類の電子化保存の要件がさらに緩和するというもので、これまで以上に文書の電子化保存が行いやすくなるため、業務効率と顧客満足度の向上がますます期待されています。

《e-文書法規制緩和後の変更点》

(重要書類は、適正事務処理要件を満たしていることが条件となります。)

対象文書の見直しについて
領収書・契約書は3万円未満が電子化保存可能
  ↓
金額基準を廃止し、全ての領収書・契約書が電子化保存可能

事前承認について
国税庁または税務署長の事前承認が必要
  ↓
国税庁または税務署長の事前承認は不要

電子署名について
入力者等の電子署名・タイムスタンプが必要
  ↓
電子署名は不要。ただし、ID等のログ情報・タイムスタンプは必要
(タイムスタンプは、文書が電子化された作成時刻の証明と、スタンプが付与された後、その文書が改ざんされていないことを証明します。)

大きさ・カラー保存について
大きさ情報の保存・カラー画像での保存が必要
  ↓
大きさ情報は不要。また、グレースケールでの保存可能。(重要書類以外のみ。例:見積書、注文書等)

2.ルールの策定

紙文書はスキャニングすることで大量の管理文書の中からピンポイントで必要なものをセレクトでき、部門間での情報共有や業務の引継ぎなどもスムーズに行うことを可能にします。これを成功させるにはまず「管理ルール策定」が最優先です。内部統制における業務の効率化を実現するためにも、また紙文書では困難な情報の一元管理を行うためにも、取扱いのルールを決めて社員で共有することが肝心です。ルールがないと、文書が個人で別々に管理され他人が把握できない、重要書類が必要なときにすぐにみつからない、アクセス管理などセキュリティ対策が不十分、などといったトラブルが逆に生じることになります。

《管理ルールで策定すべき事項》

  • ネーミングのルール(ネーミング例/部署コード+年度+連番 001-2018-10001)
  • フォルダ体系のルール
  • アクセス権限
  • 保存期間
  • 版管理

3.スキャニングして管理する効果

文書情報をスキャニングして保管することのメリットは、日々の業務における情報の検索性・共有性の向上や保管スペース縮小化、さらには、文書を複写して社外に持ち出すことや紛失を防ぐというセキュリティ面の強化などが実感しやすいものとして挙げられます。またこれらの他にも、文書管理にまつわるトータルコストの削減や競争力強化といったビジネスメリットに直結した効果が期待できます。

1.業務コストの削減

スキャニングデータを保管・保存することで作業効率の向上が見込め、文書管理に関わる人件費の削減や保管・保存コストの削減を可能とします。

2.企業競争力の強化

スキャニングにより組織内の文書情報を一元管理することで、CSR(法令遵守)への対応や信頼性の向上、さらにはCS(顧客満足度)の向上につながります。

3.リスク管理

情報を共有化することによって、災害や事故・事件など、会社にとって不測の緊急事態に早期問題解決を可能にします。

4.環境問題への対応

文書情報をスキャニングすることで、紙の使用量を削減でき環境保全に貢献できます。また不要となった紙文書をリサイクル資源とすることで紙の物流を減らしCO2の抑制にもつながります。

 

 

ゼロからわかる文書管理 最終回 おわりに

企業において業務の可視化が言われる中、文書管理の在り方はビジネスの競争力に大きく影響します。それぞれの業務や部門ごとに知り得た情報を全社的に公開することにより、知の共有が行われ、個人の知を会社の知に変えていくことが可能になります。それを実現させるための基礎手順を、6回にわたってお届けして来たのがこの『ゼロからわかる文書管理』です。

文書管理というと「不要紙文書の処分」や「情報の整理」というのが一般的な理解かと思います。しかしながら本来の目的は、業務効率を改善し会社の持続的成長を目指す土台づくりとなる取り組みです。皆さんが各部門それぞれの意見を集約して、業務改革が出来るよう文書管理を実践していただけると幸いです。

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