2015.03.12

  • 文書管理

会社の実態に合った文書管理のガイドラインづくり

文書管理を行うためには、実施に向けたガイドライン(ルール)を策定することが肝心です。とはいえこれは、業種や業態、あるいは会社の規模などによって異なるもの。必ずしも他社の成功事例をただお手本にすれば良いというものでもありません。自社の課題を明確にし、独自のルールづくりが求められます。

現状を知らずして改善はあり得ない

スポーツ選手がフォームを改善してパフォーマンスを上げようとする場合、まずは今のフォームを知って問題点を洗い出すことが大事だと言われます。文書管理の取り組みを始める場合も同じです。日ごろから社内(各部門)で文書がどのように管理されていて、現場のスタッフは文書の取り扱いにどんな問題を抱えているかなどを知って、それぞれの問題点を把握することが取り組みの第一歩になります。

調査の手順としては、部門スタッフの意識を知ることから始めます。文書のキャビネット分類が決められていてもなぜか煩雑なってしまう。これはスタッフの怠慢というより、今の仕組みに何らかの不備があると考えられます。したがってまずはアンケートをとり、スタッフが抱える不満や要望を洗い出します。次いで行うのがオフィスのキャビネット類の調査です。文書保管キャビネットの中に保存対象となる文書が紛れ込んでいないか。あるいは、業務とは全く関係のない私物が紛れ込んでいないかなどを調査します。こうした調査を一通り終えたら、お手本にできる部門を2、3挙げてガイドライン見直しの参考にします。

Point
一度活用された後も、業務の中でたびたび使われる文書や今後も参照する見込みが高い文書があります。こうした文書を必要なときにすぐに使えるように整理しておくのが『保管』です。一方、当面誰も使う予定が無くても、法的に管理年限が決められている文書は書庫などで一定期間『保存』する必要があります。

曖昧なガイドラインの見直しとルールブックの作成

文書管理は、文書の保管場所(キャビネット等)だけ決めて後はスタッフ各人任せという曖昧な仕組みのガイドラインで運用していると、必ずと言って良いほど他のスタッフには「どこに何があるのか分からない」という状態を引き起こし、最悪の場合には「キャビネットが閉まらない」などということにもなりかねません。 そこで必要になるのが、ガイドラインの見直しと正しく文書管理を行う上での手順書作成です。

ここで大事なことは、調査の結果に基づいて、それが各部門の実態に合ったものであるということ。文書をどのように分類し、どんな形で保管や保存を行うかは扱う文書自体が異なるため、それぞれの部門によって異なります。これを前提にそれぞれの現場レベルで運用できる取り決めを行い、ルールブックを作成して明文化することが肝心です。「文書にするのは面倒」と考える方も少なくないと思いますが、ルールを口頭で説明するだけでは後々誤解を招きやすく正しい管理は行えません。したがって、文書管理のルールブックという形でとりまとめておくことが良いでしょう。

あらゆる手段で現場の意識向上を

ここから先は推進プロジェクトで決まったガイドライン(明文化されたルールブック)をもとに各部門のプロジェクトメンバーから現場に周知を図り、全社スタッフが意識を共有して文書管理に取り組んで行くこととなります。その際、取り組みを後押しするツールとして啓発ポスターをオフィス内に貼り、文書管理に対する意識啓蒙を行うことも有効です。

また、取り組みの経過を数字で確認できるスコアボードを設けることも大事です。自分たちの取り組みが数字で明示されれば、他部門との比較において、良い部門はさらに良く、進捗が芳しくない部門はもっと細かい取り組みをと、競争意識が主体性を生み相乗効果が期待できます。こうした活動を続けながら定期的な点検を行い実施する上での課題が見つかった場合は、その都度ガイドラインの見直しを行うことで、文書管理の運営をより良いものへとブラッシュアップしていきます。

次回は、積もりに積もった「不要文書の廃棄」をテーマにお届けします。

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